陝西省華陰市には「皮影劇」という影絵芝居が伝わっています。この芝居は「灯影劇」とも呼ばれています。民間の伝統芸能として2000年もの歴史があり、現在では国家級無形文化遺産に指定されています。

　獣の皮で作った切り絵に光を当てて、その影をスクリーンに投影して演じる芝居で、絵画、切り紙、歌と語り、芝居が一体化していることから、「中国の最も古い映画」とも称えられています。

　張拾民さんはこの「皮影劇」の演じ手で、年齢はすでに70歳を超えました。張さんによれば、使っている皮影（人形）は牛の皮で作ったものです。牛の皮を紙ほどの薄さにまで処理してから、図柄を刻んだり、彩色したりして、アイロン掛けなども施します。さらに関節部分を糸でつないで仕上げるので、人形は自由自在に動かすことができます。

　張さんは今、孫娘さんと一緒に、若者に人気のあるアニメの登場人物を主人公とする「皮影劇」の制作に取り組んでいます。作品を動画サイトに掲載したところ、10万もの「いいね」を獲得しました。

　張さんは、「この『皮影劇』という無形文化遺産を伝承していくために、より多くの若者に好きになってもらいたい」と望んでいます。（朱、鈴木）