唐代の絹織物「繚綾」の復元に成功 白居易の詩にも登場
復元に成功した「春水緑盤絛繚綾浴袍」。(資料写真、杭州=新華社配信)
【新華社杭州11月20日】中国の文化財機関、博物館の関係者がこのほど、陝西省宝鶏市扶風(ふふう)県にある古刹、法門寺の地宮(地下宝物庫)から出土した絹織物を基に、紡織技術を駆使して、唐代の貴重な絹織物「繚綾(りょうりん)」の復元に成功した。これにより、紡織品に関する文化財の総合的・一体的な保護を実現した。繚綾は唐代の詩人、白居易(はく・きょい)が詠んだ詩にも登場するが、千年余りの間、実物も製造技法も失われてしまっていた。
浙江省杭州市にある中国シルク博物館で開催中の天然染料を紹介するビエンナーレの一環として、15日に開かれたシンポジウムで、浙江大学芸術・考古学院の院長で同博物館の名誉館長を兼務する趙豊(ちょう・ほう)教授が中心となり、繚綾復元の経緯を紹介した。
繚綾は単色で透かし模様の入った素朴ながら洗練された織物で、唐代に盛んに作られた。趙氏によると、唐代には25の官営工房があり、うち10の織物工房が布や絹、紗、羅、綾、錦の生産を担当していた。等級で言うと、最上級は錦で、次が綾になる。いずれも官服の材料として用いられた。繚綾もまた製造コストが最も高い綾の一種だった。
繚綾の存在は千年余りの間、謎のままだった。1987年4月に法門寺の地宮から唐代の織物が大量に出土した際、「衣物帳」という帳簿が見つかった。そこに絹製のバスローブを示す「繚綾浴袍」という文字が記載されていたが、実物は見つからなかった。2020年に紡織品文化財保護国家文物局重点科学研究基地(中国シルク博物館)と陝西省考古研究院は共同で、これら紡織品の保護事業に乗り出した。白居易の詩などの記録をもとに調査しところ、趙氏はついに保存状態の良い繚綾浴袍を発見。これが最初に見つかった唐代の繚綾の実物となった。
趙氏の研究チームは繚綾浴袍の形状に基づき、昨年末から復元作業に着手。今年10月、白居易の詩に歌われた「江南春水色」という色を再現した「春水緑盤絛繚綾浴袍」の復元に成功した。
趙氏は、絹の文化財の発見から、発掘・保護、分析・検査、さらには考証、展示、活用に至るまでの過程は、文化財の総合的・一体的な保護という理念を体現していると語った。(記者/馮源)
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