中国伝統衣装の漢服、新たなファッションに 海外にも発信
洛陽市の洛邑(らくゆう)古城で、漢服姿で自撮りをする観光客。(2月22日撮影、洛陽=新華社記者/李安)
【新華社北京5月22日】中国ではここ数年、漢服文化の人気に火が付き、海外にも発信されるようになった。漢服は中華民族の伝統衣装の中で最も代表的な服装とされ、漢服を着ることは今では若者にとってファッションや自信を表現する新しい手段となっている。
陝西省西安市の西安城壁風景区で散策する漢服姿の観光客。(4月30日撮影、西安=新華社配信/鄒競一)
中国服装協会が調査会社の艾瑞諮詢集団(アイリサーチ)などと共同で発表した「2022年中国新漢服業界発展白書」によると、漢服の市場規模は2015年の1億5千万元(1元=約20円)から21年には101億元に拡大し、消費者数は1千万人の大台に乗った。今年に入って、「漢服体験」に代表される新しい没入型の楽しみ方が若者の間でますます人気を集めている。中国の生活関連サービス大手、美団のデータによると、「漢服体験」というワードの検索数は4月23日時点で前年比3.8倍に増加。陝西省西安市、河南省洛陽市、江蘇省蘇州市が検索上位3位を占めた。
陝西省西安市の大唐芙蓉園で記念撮影をする漢服姿の観光客。(4月19日撮影、西安=新華社配信/鄒競一)
洛陽市では、市内の至る所で「タイムスリップ」してきたかのような漢服姿の観光客を目にすることができる。美団のデータによると、4月以降、同市を訪れる旅行商品の受注件数は前年比で3.5倍に増加。「漢服体験」を売りにした古い街並み「洛邑(らくゆう)古城」が市内一の人気観光地となり、周辺にある漢服店300軒余りの売り上げを大きく押し上げた。艾瑞諮詢のデータによると、消費者の年齢構成は35歳以下が71.4%を占め、うち18~25歳が3割近くに上っており、将来的に消費を大きく伸ばす可能性がある。国内の漢服市場の規模は25年までに191億1千万元に達する見通しだとしている。
漢服を着て陝西省西安市曲江新区にある唐代の庶民の生活を再現した没入体験型施設「長安十二時辰」を楽しむ観光客。(1月24日撮影、西安=新華社記者/劉瀟)
多くの団体や個人も漢服文化を世界に広めようとしている。今年の春節(旧正月)期間中、大勢の漢服姿をした中国人留学生が大英博物館に集まり、春節の風習にのっとって菓子を配り、新年の喜びを分かち合った。ある留学生は「子どもたちが漢服姿の私たちを見て、興味津々で一緒に写真を撮りたがったので、春節にまつわる話を聞かせてあげた」と誇らしげに語った。
大英博物館で中国の春節を来場者に紹介する漢服姿の中国人留学生。(資料写真、ロンドン=新華社配信)
浙江省義烏市出身の白川(はく・せん)さんが、漢服文化を広めようと漢服に身を包んだ映像は、米ニューヨークのタイムズスクエアの巨大スクリーンに映し出された。白さんは「このような形で中国の伝統衣装の美しさを世界に紹介したかった」という。
ニューヨークのタイムズスクエアの巨大スクリーンに映し出された、漢服姿で漢服文化を紹介する浙江省義烏市出身の白川さん。(資料写真、動画のスクリーンショット、ニューヨーク=新華社配信)
世界各地で開かれる「漢語橋」世界大学生中国語コンテストや「中国文化デー」などの催しでも、漢服を着る外国人が年々増えている。中には、中国の伝統文化をこよなく愛していることを表現したいと、漢服の作り方を学ぶ人までいる。北京市に住む米国人ジョンメイ・アーボンヤ(JongMay Urbonya)さんは中国の伝統衣装が大好きで、よく漢服姿で公園のあずまやや楼閣を散歩している。彼女は「美しいものを愛する気持ちに国境はない。中国の伝統文化には、時空を超え、国をも越える無限の魅力がある」と話している。
カナダのバンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学の植物園で開かれたイベント「迎春花市」で、中国の漢服文化を紹介する漢服愛好家。(1月14日撮影、バンクーバー=新華社配信/梁森)
ブラジル・リオデジャネイロで開かれた国連中国語デーを祝うイベントの会場で漢服を披露する出演者。(4月19日撮影、リオデジャネイロ=新華社記者/王天聡)
ベトナムの首都ハノイで、漢服を着て記念写真を撮るベトナム人学生。(2022年9月27日撮影、ハノイ=新華社記者/蒋声雄)
「漢語橋」世界大学生中国語コンテストのベルギー予選大会で、自分で仕立てた漢服を披露する出場者。(2022年6月26日撮影、ブリュッセル=新華社記者/潘革平)
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