コロナウイルス感染 どう防ぐ? 新型肺炎対策を専門医に聞いた
手洗い、せきエチケット…「正しい方法」で
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の発症者が急増し、米国やタイなど世界的に感染が広がっている。中国政府は「人から人への感染が認められる」としており、日本国内で発症者が増える可能性も否定できない。専門家は「現段階では、一般的な風邪やインフルエンザの予防策の徹底」を呼び掛ける。あらためて感染予防に必要なことを聞いた。
コロナウイルスは、人や動物に感染するウイルスの一種。国立感染症研究所(東京)によると、コロナウイルスが原因となる風邪は10~15%(流行期35%)で、軽い症状にとどまるものが多い。ただ、中には2003年に中国で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、中東地域で発生している中東呼吸器症候群(MERS)のように重症化しやすいものもある。
輸入感染症に詳しい国立国際医療研究センター国際感染症センター(東京)の忽那賢志(くつなさとし)医師は「新型ウイルスの感染力はまだ比較が難しいが、重症化するリスクや致死率はSARSやMERSに比べて低い」とみる。ただ、高齢者や持病がある人など抵抗力が低下している人は注意が必要という。
国内での感染拡大については「感染から発症まで時間があるため、感染者が知らずに入国し、ウイルスが侵入するリスクはある」。その上で「発症者が受診した医療機関で迅速に診断し、的確に対応する備えが重要だ」と強調する。市民生活では「外出を控えるなどの過剰な反応は必要なく、手洗いやせきエチケットなどを正しい方法で行えば十分」と話す。
飯塚病院(福岡県飯塚市)感染症科の的野多加志(たかし)部長も「風邪やインフルエンザの一般的な予防法を徹底することが大切」と言う。
手洗いは、指の間や手首などもせっけんを使って念入りに洗うなど、正しい方法でこまめに行う。水やせっけんがない場合はアルコール消毒も有効だ。
せきやくしゃみが出る人はマスクを着ける。手のひらで口や鼻を押さえると、付着したウイルスを周囲に広げてしまうため、マスクがない場合は、ハンカチやティッシュペーパーか、二の腕で押さえると良い。「意外と正しい方法を知らない人も多いので、この機会に確認してみてほしい」と的野部長。
また、インターネットなどで過度に不安をあおる誤った情報が拡散していることを懸念。「厚生労働省や国立感染症研究所などの信頼できる情報源から正しい情報を収集し、冷静に対応して」とも呼び掛けている。(編集委員・井上真由美)
=2020年1月27日付 西日本新聞(医療面)掲載
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