【新華社西安8月9日】中国陝西省自然資源庁は7日、研究者らが同省漢中市城固県でジャイアントパンダの成獣の骨格化石を発見したと明らかにした。頭蓋骨を含む骨格化石はより完全に近い状態にあり、これは中国国内でも珍しいレベルで、科学の研究や普及を進める上で重要な価値を持つ。

　同庁は7月下旬、城固県にある洞窟内180メートルの深い場所で動物の骨格化石と思われるものが見つかったとの報告を受けた。専門家による鑑定の結果、化石はジャイアントパンダの成獣のもので、雌の個体である可能性があり、化石の年代は20万年前から1万年前の第四紀中期更新世から後期更新世にかけてのものであると暫定的に判断された。

　同省古生物化石専門家委員会の胡松梅（こ・しょうばい）委員は今回の発見について、秦嶺山脈から大巴山脈にかけての秦巴地域におけるジャイアントパンダの生存や進化の過程を明らかにし、更新世における古地理や古気候、古環境の変遷の歴史を逆解析する上で大きな意義があると語った。

　同省古生物化石保護研究センターの曽忠誠（そう・ちゅうせい）副主任は「われわれが発見したジャイアントパンダの骨格化石は全身の7割以上が完全な状態で残っていた。ここ数年、省内で見つかった同類の化石としては最も完全性が高い」と説明。今回見つかった上腕骨や大腿骨（だいたいこつ）、脊椎、肋骨、後頭骨などのジャイアントパンダの骨格は、1平方メートルほどの広さの岩盤の上に露出していた。長さは3センチから20センチほどで、表面は炭酸カルシウム（石灰）の二次集積層で覆われていたという。

　今回発見された骨格化石は無事に洞窟の外に運び出され、西安市に送られた。間もなく標本の修復や調査研究が開始される。（記者/孫正好）