陝西省一帯、特色ある町に「文化」が農村振興を後押し
陝西省一帯、特色ある町に「文化」が農村振興を後押し
2018年5月5日 10:35 発信地:中国
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陝西省一帯、特色ある町に「文化」が農村振興を後押し❮ 1/5 ❯
2月26日、王家磁坊の展示室で耀州磁器を手にする王戦軍さん(2018年2月26日撮影)。(c)新華社
【新華社西安】中国陝西省涇陽県崇文鎮宋村に住む邢小英さんは、数年前まで農作業を行う関中地域の伝統的な農民だった。しかし今は、涇干鎮双趙村の茯茶加工工場で働いている。茶葉圧縮の高度自動化生産ラインの操作にも慣れ、毎月3千元近くを稼ぐ。
邢さんは、この3年ほどの間に彼女が住む中国茯茶加工発祥の地で起こった変化の縮図だ。人口が大量流出したさびれた村々から、小川が流れ伝統的な住居が並ぶ、趣のある茶文化の「特色小鎮」(特色ある町)に変わったのだ。周辺の村民は、「全家庭が商売をし、全世帯に資産がある」という幸せな生活を実現している。
「茶文化」の特色ある町の建設は、茯茶鎮に新たな活力となった。陝西省銅川市では「磁器文化」の町の建設も始まっている。2017年後半より、銅川市は「耀州窯」の歴史文化資源を開拓し、黄堡工業園区内にある10カ所の廃工場の改修を進めている。最終的に遺跡観光、研究・開発・生産、工芸体験、飲食・宿泊などを一体化した「耀磁小鎮」を建設する予定だ。歴史文化資源・産業遺産・現代陶磁器産業を融合し発展させようとしている。
耀州窯文化基地管理委員会の何建平主任は、「耀州磁器は、唐代から続く中国古代の六大陶磁器の一つだ。耀磁小鎮は3年で形ができ、5年で都市になる。将来的には、陶磁器の職人が続々と詰めかける場所となり、中国陶磁器文化を世界に発信する窓口になるだろう」と話した。
文化は特色小鎮の「魂」であり、産業は特色小鎮の「柱」だ。政府主導のイノベーションと研究開発を糸口として、付加価値の高い新製品によって特色小鎮オリジナルの文化価値の潜在能力が引き出されている。
西咸新区涇新茯茶鎮文化産業発展集団有限公司の魏金娟董事長は、「緑茶・プーアール茶・白茶・黒茶・ウーロン茶など、現在どんな茶葉からでも茯茶を作ることができる」と話した。茯茶は何千年も変わらぬ製品形態から脱却した。茯茶鎮の企業直売所には、ジャスミン茯茶・ティーバッグ茯茶・粉末茯茶などの製品が並ぶ。若者に人気があり、さらに「一帯一路」構想を受け海外進出した新製品も少なくない。
銅川市耀州窯陶磁発展有限公司では、新製品の中で、精緻な青磁の聞香杯(香りを楽しむだけの細長い茶器)と青磁の獅子像が「ネット通販ベストセラー」となった。同社の蔡雲川董事長は2009年から陶磁器生産が盛んな福建省泉州市徳化県や江西省景徳鎮市などの技術者を招聘し、共に黄堡で起業した。彼らは磁器土生産の工業化における技術障壁を乗り越え、3Dプリンターでの型製作技術を用い、文化的でアイデアあふれる様々な青磁製品の「クローン」を生み出し、消費者からの評判も良好だ。
蔡氏は、「中国の伝統文化はすでに創造的な変容、革新的な発展という新時代に突入している。千年の歴史を持つ耀磁も再出発し新たな道に踏み出す歴史的な節目を迎えている」と述べた。
西北大学経済管理学院観光管理学部の郭亜軍准教授によると、陝西省は中華文明発祥の地であり、数千年の歴史文化、共産主義精神を称える紅色文化、民俗文化、現代文学・芸術、秦嶺山脈の生態文明などの資源が国内外で有名で、「文化を小鎮の『魂』とし、産業と文化をさらに融合させ、陝西省の特色小鎮の絶え間ないモデルチェンジとレベルアップが進んでいる」との見方を示した。
陝西省北部の文安駅古鎮では、知識青年文化と古代の駅文化が引き立て合っている。四川省に隣接する青木川鎮は、明清代の古代建築文化と女流作家の葉広芩氏の小説のストーリーが人々を魅了している。人気ドラマ「白鹿原」によりブームになった白鹿原・白鹿倉風景区や民俗文化で人気を集める袁家村・馬嵬駅や紅色文化と生態文化が融合した照金小鎮などそれぞれに特色がある。航空小鎮、西部雲谷(クラウドバレー)最先端技術小鎮などは、戦略的新興産業における西安市の大きな「魅力」となっている。郭准教授は、「陝西省では特色小鎮が点在していることで、歴史文化をテーマとする観光が多様化し、国内外の観光客が中国の伝統文化をより深く理解し、体験する機会が提供されている」と分析する。
中国の有名作家、賈平凹氏の旧宅、作品の舞台や題材となった家の前の「醜石」や茶馬古道のシルクロードの歴史は、秦嶺山脈南麓の陝西省丹鳳県棣花古鎮の「イチ押しポイント」だ。
商洛市商於古道文化風景区管理委員会丹鳳県弁公室の李瑞峰副主任は、棣花古鎮の建設状況は、「政府が資金の60%を出し、貧困層向けローンによって改修資金の40%を調達した。改修後、政府は改修した家屋を無償で貧困層に引き渡す。貧困者140余名の一部は部屋を貸し出し、1世帯当たり年間1万元ほどの賃料を得ることができる。また、小鎮は観光客のべ80万人を見込んでおり、貧困者自身がそこで働けばさらに2万数千元を稼ぐことができる。そうすれば、貧困から脱却できるだろう」と述べた。
データによると、2013~2017年にかけて、陝西省の重点模範鎮35か所に累計660億7600万元の投資が行われ、人口は63万6100人増加し、貧困者7万2600人の就労問題が解決された。文化・観光名所(町)31か所では、累計160億9300万元が投じられ、伝統的な街並み28か所が修復され、最高レベルの5A~1Aの5段階に分類される観光地のうち4A風景区が12か所、3A風景区が15か所にのぼり、非農業就労者数は18万9600人に達した。
陝西省の陳国強副省長は、特色小鎮の建設を通し、文化と観光・産業の融合と発展を促進し、文化・産業・人材の振興の実現は、現在の農村振興、都市部と農村部の統一的な計画、貧困脱却の重要な土台となる。陝西省は引き続き特色小鎮の建設を地域的な貧困脱却の重要な糸口として、特色小鎮の持続的かつ健全な発展と農村部の貧困層の貧困脱却という「2つの目標」の実現に尽力していくと述べた。(c)新華社/AFPBB News
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